ソーシャルシリアスゲーム: 2rot13

Social Serious Game: 2rot13 この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などには関係ありません。

思考実験

ウイルスが人類の脅威であることはビル・ゲイツも言っているくらいで、明白である。また、古くはイギリスがアメリカ先住民に天然痘の付いた毛布を贈って感染させたことで有名な生物兵器は、戦術として、一般的に想定されるものである。生物兵器は、国際法で使用が禁止されているが、国際法はあまり順守されていないうえ、正規軍にしか適用されない。ウイルスは、わざわざ人為的に開発する必要はなく、既存のウイルスでも十分活用できる。

では何故一般的に実行されないかというと、自国や近隣の同盟国に被害をもたらすというのが大きい。

実質的に世界最強の国はアメリカ合衆国なのでアメリカを例とする。アメリカに害をもたらしたい国Bがあったとして、B国の移民も当然アメリカにはいるし、移民は一般的に差別を受けていたり、マイノリティであることが原因の不利益を受けていることが多いので、協力を得ることは困難ではない。海外に出てもらい、アメリカCDCのカテゴリAに属するような生物剤、例えばエボラに感染してもらい、潜伏期間中にアメリカに戻って公共交通機関や人の密集するイベントでまき散らして、祖国のために死んでもらうことは、核兵器を開発することに比べれば極めて容易である。

しかし、現代は国境を越えての移動が日常的にあるため、アメリカで例えばエボラのパンデミックが発生すると、B国やその同盟国にも必ず影響がある。ISILくらいアメリカと隔絶していて、国際社会との関係を無視できてもなかなか難しく、ロシア程度の関係性であれば、まず実行はできない。

実行条件としては、世界の多くの国が鎖国に近い状態になり、かつ、人の移動も完全に不可能ではないという状態である。この状況は、第二次世界大戦以降今まで一度も発生しなかった。戦争状態にある一部の国では発生することがあったが、経済活動も含めて、世界的に各国が鎖国に近い状態になることは、今までなかった。現代で、世界の主要な国を鎖国させることは、核兵器を使用するよりさらに難しい。

しかし、期せずして、SARS-CoV-2によるパンデミックで、EUですら移動禁止措置が行われる、第二次世界大戦以降いままでなかったレベルの鎖国状態になった。この状態であれば、例えば生物兵器を使用したとしても、ターゲットの国以外に影響が出る可能性が低い。エボラウイルスであれば、空気感染はしないが飛沫感染はするので、一緒にインフルエンザにも感染してもらえばくしゃみで感染を広げることができる。アメリカ人全員に感染させる必要は全くなくて、感染者が10人出て死亡者が8人出れば、アメリカの経済は死ぬし、テロとしては成功となる。もちろん、ターゲットはアメリカに限らない。日本には「~に親でも殺されたような」という表現があるが、国際的な紛争で親も子供も普通に殺された人はどこにでもいるので、宗教や国家に殉ずる人員はいくらでもいる。

主要国が鎖国の状態になることが実行条件となる何かは他にもあるだろうし、その実行条件が整ったことは100年近くなかったことを考えると、100年間実行されることは考えもしなかったことが実行される可能性が十分にあるし、私はそれを知りたいと思う。

この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などには関係ありません。