ソーシャルシリアスゲーム: 2rot13

Social Serious Game: 2rot13 この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などには関係ありません。

優先順位と芸術、歯医者、家

二十歳くらいの頃、僕は何よりも優先して絵を描いていた。他のあらゆることが、時間の無駄だと考え、絵だけを描いていた。何年くらいだろう、本当に集中していたのは、せいぜい1年か2年か、その程度だ。やっただけの成果は出たともいえるし、世界を変えることはなかったともいえる。その程度だった。本当に、何よりも優先していた。絵のためになるなら何でもやったし、絵に関係のないことは何もしなかった。

僕は、子供のころから虫歯になりやすかったので、虫歯になるたびに歯医者に行っていたけれど、その時間とお金が無駄だと思ったので、その期間、一切歯医者に行かなかった。結果として、本当に歯がボロボロになった。前歯はそれほどではないんだけれど、奥歯は折れてしまってほとんど形が残っていないものがいくつかあった。虫歯というのは、ある段階を過ぎると痛くないのだと知った。自分にとって、歯なんてどうでもいいものだったし、それを犠牲にすることで絵が少しでも描けるなら、躊躇なく切り捨てられるものだった。

自分に、絵の才能がないということを受け入れてしばらくしてから、歯医者に行き全て治療した。ほとんど形の残っていないものを含めて、4本の歯を抜き、数本の歯の神経を抜き、治療を完了した。全て終わるのに一年近くかかった気がする。その後は定期的に歯石を取りに歯医者に行き、毎日フロスをして、大きな虫歯には一度もなっていない。子供のころからそうしていれば良かったとは思う。しかし、子供のころから定期的に歯医者に行くことに疑問を持たないような人生だとしたら、二十歳まで生きられていないかもしれない。それをつまらない人生だとは言わないけれど、僕は歯医者で歯石をとられながら、なんてつまらない人間になってしまったんだろうと思ったことは覚えている。

同じようなことはたくさんあって、例えば僕はあるときローンを組んでマンションを買ったんだけれど、そこはものすごく快適だった。はっきり言って、今までなんであんなところに住めていたんだろうと思うくらいに違った。そして、同じように、なんてつまらない人間になってしまったんだろうと思った。どうせここまでつまらない人間なら、いっそ今死んでしまってもいいなと思い、どうせ死ぬなら何かをしようと思う。堂々巡りで進歩がないけれど、まあそれが僕という人間なんだろう。

この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などには関係ありません。