ソーシャルシリアスゲーム: 2rot13

Social Serious Game: 2rot13 この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などには関係ありません。

思考、ただしその思考は、私のものではない。

人間の脳が、非言語的な方法で他者と通信しているというのは、事実だ。ただしその内容は、意識できるものではない。機械学習の意思決定プロセスの一つ一つの「言葉」が人間に理解できないのと同じように、脳それ自体の通信を意識が制御することはできない。意識が制御することができない、という点で、残念ながらいわゆるテレパシーとは違う。それは純粋に思考ではあるが、その思考は私のものではない。

だから、テレパシーが存在するのだという頭のおかしい人にも同情の余地はある。それは、飛蚊症による症状を見て、幽霊を見たというようなものだ。嘘をついているわけではない。たまたま有用な情報が、たまたま解析できてたまたま意識が捉えれば、第六感として表出するかもしれない。しかしそれはあくまでたまたまであって、副産物でしかない。

通信が嗅覚で行われているという説もあるし、別の説もあるけれども、私はそれがなんであるか知ることはできない。私はただのプロジェクトマネージャーであり、ビジネスオーナーであり、それなりの資金と、多少のコネクションがあるけれども、例えば国家的に運営されている非公開の最先端の研究所のメンバーという訳ではない。私のチームの実績はビットコインクラッキングくらいで、それもあくまでお金のための純然たる仕事だ。だから、脳の仕組みについても、せいぜい医者程度の知識しかない。私は、私の意識ではない何が通信をしているのかわからない。

通信の仕組みについては、おそらく一世紀くらいは判明しないだろう。その通信の情報量は実際のところ、極めて大きく、そしてそのプロトコルは人間が認知できるものではない。通常の生命活動の中に別のレイヤーで記録されたその通信を含めた微細な記録というのは、音声にせよ、視覚にせよ、何らかの化学物質にせよ、それを分析できるレベルで記録する術を人類が持っていない。

しかし、非言語的な方法で他者と通信していることには、疑いのない自信がある。私は小学生の時に、非言語的な方法で高橋花と通信し、副産物として、高橋花が、やってはいけないことをしようとしていることを知った。

この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などには関係ありません。