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ソーシャルシリアスゲーム: 2rot13

Social Serious Game: 2rot13 この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などには関係ありません。

ソーシャルシリアスゲーム

「感覚脳関門へのハッキングでは、フィードバックを計測しながら数日間かけて、例えば、右目と左目には別の入力を行っている。人間の感覚というのは、原始から常に入力され続けているから、血液脳関門よりさらに強固な関門が進化によって備わっている。そうでなければ簡単に壊れてしまうからね。というか、簡単に壊れてしまった人間が遺伝子プールから排除されたというべきかな。何にせよ、感覚脳関門は極めて強固だ。それを、一枚の絵が成し遂げているわけだから、これは凄まじいことだよ」

感染しているかどうか判断する方法がないのに、何故調査を進めることができたんですか?

「ちょっとグロテスクな方法なので割愛するけれども、感染しているかどうかは診断できないけど、感染していたかどうかは判別できる」

していたか。

「そう。診断すると、死んでしまう」

死んでしまわないように判断することはできない?

「今のところ、できない」

なるほど。じゃあ、私も感染しているかもしれないですよね。

「していない」

「絵が描かれた――描かれたどうかはわからないから、発生したとしよう、――発生したのは████年で、その時点では君は既に失明している。君には見ての通り両方手首から先がついているから、『手首を切断する装置』でエーテルに接続して感染した可能性もない。だから、100パーセント感染していない。僕が君に絵を探すのを依頼したい二つの理由の一つは、君が100パーセント感染してない人間だからで、もう一つの理由は君が現存する最高の芸術家だからだ」

████年だというのは何故分かったんですか?

「何故分かったと思う? これは、考えれば、答えはいくつか出るはずだよ。君はこれから沢山考えなければいけない。ウイルスは、『手首を切断する装置』でエーテルに接続してから48時間で感染する。だから、君は48時間以内に絵を見つけなければいけない。48時間経ったら、君は100パーセント感染してない人間ではなくなってしまう」

「これはゲームだ。君は参加費として、手首から先と、エーテルをインストールするための数日間と、接続してからの48時間を支払い、参加の報酬として目に代わる、圧倒的に価値のある器官であるエーテルを手に入れる。ゲームに勝てば、君は失ったものを全て取り戻し、芸術の世界の女王に復権する」

「さらに、ゲームの目的である一枚の絵は、感覚脳関門への影響の大きさから想像するに、芸術の最高峰であることは間違いない。少なくとも、人間が誕生してから今までに生まれた『芸術』の中で最高のもので、今存在する全ての作品の力の合計よりも力がある。これを『目にする』ということは、それ自体、君にとって価値のあることだと思うよ」

「これはゲームだ。それも、最高のゲームだ。完全情報ゲームみたいに、ベストな打ち筋を暗記する遊びではないし、アメリカの推理もののTVシリーズみたいに引き伸ばしで結論が先送りされることはない。社会性があり、関係性があり、真剣に推理する価値があって、確実にゴールがある」

「ソーシャルシリアスゲーム。楽しんで」

この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などには関係ありません。