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ソーシャルシリアスゲーム: 2rot13

Social Serious Game: 2rot13 この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などには関係ありません。

感覚脳関門をハックしてもたらされる変化 2

「二つ目は、安定だ。安定に対する拒否をキャンセルする」

例のウイルスと同じですね。

「その通り。というか、一つ目も同じなんだ。どういう順番で説明すればわかりやすいのか分からないんだけど、それをウイルスと表現したのには理由があるし、我々のラボでのハッキングとの共通点も違いもある。まずラボでのハッキングの話を進めるよ」

「我々のラボでの感覚脳関門へのハッキングは、五感のうち視覚と聴覚と触覚から行う。数日間かけて、フィードバックを観測しながら、適切な刺激を入力する。それから、ハッキングした人間数人を閉鎖されたエーテルに接続する。すると、彼らは一つの知能を構成するようになる」

「そのエーテルにハッキングしていない人間を繋ぐと、その人間は通常のエーテル同様情報のやり取りが可能だけれど、一つの知能には加わらない。それは妥当な結果だと思う。我々のラボでの感覚脳関門へのハッキングは個人毎にチューニングされたアタックだから、その感覚を共有しても壁は壊れないんだね」

「前に言ったとおり、公開されていないエーテルは、実験段階でありながら、実用も行われている。例えば、世界上位10人の――あえて言うけれど――プログラマは、エーテルに接続して開発をしている。ディスプレイとキーボードでは到達しない世界に彼らはいるからね」

「だから、そういった実用的な閉鎖網とは別に、実験は常に行っているんだけれど、あるとき、1人もハッキングした人間を繋いでいないエーテルで、参加者のうち数人に『群知能化』が発生した」

「このインシデントは、二つの事実に分解できる」

1、我々がハッキングしていない人間が、ハッキング済みだった。
2、ハッキングが別の数人に感染した。

エーテルは感覚を共有するから、感覚脳関門へのハッキングが伝わる可能性についてはもちろん考えていた。でも、感覚脳関門へのハッキングは、各個人のフィードバックを測定しながら個別にチューニングして数日間にわたって行うものだから、それ自体を共有しても別の人間の関門が破壊されることはありえないという結論になった。それが発生したということだね。このインシデントが発生してから今までの我々の検証を時系列で追うのは、あまりに時間がかかりすぎる。だから結論だけ言うと、事前にハッキング済みの人間は共通して一枚の絵を見ていて、それが彼らをハックしたということだった」

この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などには関係ありません。