エーテルは、ロボットのコントローラーではない
「僕がこれからあなたにインストールするエーテルは一般に使われているロボットや重機のコントローラではない。NA█Aで使われているものでもない。あんなのも、一般用と対して変わらない。そもそも僕は、NA█Aに所属してもいないし、現行のエーテルをテレビで放映されるようなところで使うわけがない」
「エーテルは、一つの器官だ。それも、極めて価値の高い器官だ。例えば、人間はエーテルによって、初めて本当の意味でコンピュータを使うことができる。今、世界トップ10人のプログラマは誰かわかる?」
わかりません。G█████とかにいる人ですか?
「いない。でもかなり正しい。プログラマとして頂点にいる10人は、今は全員████████に携わっている。まあ、企業向けのシステム開発とかゲーム開発なんてマックジョブだよね。だから、先端の開発者が携わるのは暗号技術か、████████だ。でも、その10人は民間企業でも大学でもなく、我々のラボにいる。彼らが頂点だと言い切れるのは単純で、使っているインターフェースが違うからだ。彼らは、エーテルを使って開発を行っている。それは、キーボードでコードを書いていては絶対に到達しない地点だ。ある粒度で構造化した、コードがコードを生成する巨大なシステムを開発し、改良するためには、キーボードとディスプレイでは追いつかない。それは、目を閉じて耳をふさいで足でキーボードを操作するのと同じ位不可能なことだ。彼ら10人の価値は、民間企業の全てのプログラマの合計よりも高い」
痛いですか?
「鋭い。本当に。つまり?」
外科的な処置を行うんでしょうね。
「その通り。でも、もちろん痛くはないよ。麻酔をするから」
頭にセンサーを埋め込む?
「そんなことはしないよ。脳に繋げなければいけないと思っているのがそもそも大きな間違いだ。君はウェブカメラ をCPUに直接繋ごうと思う? マウスをノースブリッジにハンダ付けする? それは、想像力の欠如というものだよ」
良かった。少し安心しました。どうやるんですか?
「手首を切り落として、神経に繋ぐ」